峨嵋山の四大奇観の四、果てしない「銀色の世界」

　「銀色の世界」は仏教で言われる「三千大千世界」の中の最も円満な世界であり、実際の狀況から見ても內(nèi)容が豊かで美しい総合的な景観である。

どうしてこの「銀色の世界」の冠を峨眉山に贈(zèng)るべきなのか。これは長々と続く雪のような數(shù)えきれないほどの雲(yún)の海があるからであり、銀色の光を四方に放つ峨眉山の月は、一年中現(xiàn)れている神秘的で數(shù)えきれないほどの雪景色は、「玉の木と美しい花」とよばれる美しい「木に雨滴が凍結(jié)したもの」であり、西部の空に橫にたわって顔をほころばせているような笑った貢嘎（コンガ）雪山は、非常にクリーンな天然の絵巻物を巧みに構(gòu)成し、それは確かにその名に恥じない「銀色の世界」である。

峨眉山の雲(yún)の海は、低い雲(yún)からなり、上半期は積層雲(yún)が主で、下半期は積亂雲(yún)と積層からなり、峨眉山の霧の日は年平均322日間であり、ひいては多くとも338日間に達(dá)し、この低い雲(yún)と多くの霧からなる雲(yún)の海は、その他のところの雲(yún)の海と全く違うものである。峨眉山の72の峰は、ほとんど標(biāo)高2000メートル以上であり、峰は高く、雲(yún)は低く、雲(yún)の海の中から多くの島が浮かぶように現(xiàn)われ、雲(yún)、霧に包まれ、あたかも仏の國、仙人の里のようである。雲(yún)と人の影が次々と現(xiàn)われ、白い波が逆巻き、これらの島は海に浮かぶ舟のように、また「慈悲深くて航行によって済度する」ようである。現(xiàn)代の詩人趙樸初氏（故人）に「空は朝焼けの衣をつくって日の出を迎え、峰は雲(yún)海に浮かぶ舟のようである」という詩はまさにこの景色の絶妙な描寫である。

　峨眉山は白い雲(yún)の故郷であり、多くの仏寺には、「雲(yún)」という字があり、例えば臣雲(yún)庵、白雲(yún)寺、集雲(yún)寺、臥雲(yún)寺、帰雲(yún)寺などは白い雲(yún)の深い所の「銀色の世界」に見え隠れしている。

雲(yún)の群れの上に立って峨眉山の月を観賞すれば、自然に「月光が清朗となって乾坤を照らす」ようである。玉のように白いということで銀色の光が四方にあふれる峨眉山の月を形容することは、少しも大げさではないと言える。唐の詩人の李白は『送蜀僧晏入中京』という詩の中で、詩全體は16文からなるものであるが、そのうち７文は峨眉山の月を詠んだものである。「頭を上げて山の月を眺め、頭を下げて故郷を思う」という詩句は、峨眉山の月を巴蜀の親戚、知人に置き換えたものである。その「峨眉山の月の歌」は永遠(yuǎn)の絶唱となり、今日の世界の漢詩唐風(fēng)の手本となっている。

峨眉山は標(biāo)高2000メートル以上で、毎年9カ月は積雪があり、春、夏、秋、冬の違いがなく、年平均141日間の「木に雨滴が凍結(jié)するもの」と139日間の「樹氷」をそれに加えることができる。この木に雨滴が凍結(jié)したもの、樹氷の出現(xiàn)、木々が青々と生い茂る連峰は、きらきらして透明である瑠璃に覆われたようである。宋代の愛國詩人馮時(shí)行は「峨眉山」の詩の中で「巖と山が皆はじめて見るものであり、草木の半分は無名である。緑が山々の玉を削って、光は美しい木を動(dòng)かす」とうたっている。

　このように珍しい境地は往々にして夏と秋に現(xiàn)れ、これは地球上の同じ緯度、同じ自然環(huán)境の中ではきわめて少ないことである。峨眉山は高くはないが、1年中まっ白な玉のような冬の景色を目にすることができる。

世界でも最も長い詩といわれる「ゲサール王の伝記」の中で峨眉山は歩みが力強(qiáng)くてたくましい白い神象に似ているとしている。これは普賢菩薩が象に乗って山に登って法事を行うところを描いた古代の伝説と、ぴったり合ってとても巧緻である。朝日が東の空に昇った雪の晴れた朝に、幾重にも重なり合った雪に覆われている峨眉山は、本當(dāng)にたくましい神象に似ており、鼻を巻きあげて人びとが尾のところから現(xiàn)われ、雲(yún)の海の対岸に向かい、真紅の朝日に向かっている。赤い太陽が西に傾くにあたり、7つの色彩の「仏光」が、阿耨達(dá)池のハスの花のように、果てしなく広がる雲(yún)の海の中から昇ってくる。現(xiàn)代詩人の郭沫若はこの絶妙な景色を観賞してから、「玉の峰は朝日を迎え、銀色の海は長い虹を納める」と高らかにうたい上げた。

雲(yún)海、月光、雪山、氷山の峰は、この非常にクリーンな「銀色の世界」が集まったものである。

「チャイナネット」２００３年７月１８日